第33消防車隊と第9はしご隊の略史

すべての写真はNewyorkitecture.comの好意の下複製されており、収益はFoodbank For New York Cityに寄付される


消防署第33消防車隊と第9はしご隊は、マンハッタン区ノーホー地区グレート・ジョーンズ・ストリート42番地に所在するニューヨーク市の消防署だ。この消防署は西側をラファイエット・ストリート、東側をバワリーに囲まれた区画にあるグレート・ジョーンズ・ストリートを管轄下に置いており、「バワリーU」の愛称で親しまれている。

グレート・ジョーンズ・ストリート42番地の荘厳なアーチの下に、隣り合って並ぶ第9はしご隊と第33消防車隊

この巨大なボザール様式の建物は、アーネスト・フラッグとW・B・チェンバースにより、1899年に建てられた。

建物の正面中央の銘板はニューヨーク市の初代消防総監ジョン・J・スキャネル、消防署長でニューヨーク市の6代目消防総監のヒュー・ボナー、建築家のアーネスト・フラッグとW・B・チェンバースを称えている。左側の銘板は悲劇の2001年9月11日に殉職した第33消防車隊の10人の消防士を偲んでいる。


ボザール様式には、パリのエコール・デ・ボザール(美術学校)に端を発するグレコローマン様式の流れを汲んだ古典的な特長が見られる。エコール・デ・ボザールで学んだ多くの著名なアメリカの建築家が持ち込んだこの建築様式は、アメリカの建築に多大な影響を与えた。

ボザール様式の建物のファサードは通常、柱と対称性などギリシャとローマの建築様式を彷彿とさせる特長を併せ持ち、その他の歴史的建築様式からも装飾的な要素を取り入れている。浅浮き彫りと呼ばれる立体的な彫刻パネルやカルトゥシュと呼ばれる曲線的な凸面などの建築装飾は細部に至るまで精緻を極めている。これらは通常、花輪、つる、花綱、円形浮き彫りの装飾、メダルのようなオーナメントで周囲を飾られている。今日、グレート・ジョーンズ・ストリートの消防署の建物でこのような装飾彫りの多くを目にすることができる。

端正な鉄細工の柵に数字の「33」を見てとれる


典型的なボザール様式の装飾


ブログDaytonian in Manhattanで、第33消防車隊グレート・ジョーンズ・ストリート42~44番地担当のトム・ミラーは、建物の煌びやかな細部を紹介し、第33消防車隊の功績を歴史を振り返りながら分かりやすく説明している。その一部を抜粋する。


第33消防車隊は消防署が組織された同じ年に結成され、当時から変わらずマーサー・ストリートを拠点に活動を続けている。ニューヨーク市はグレート・ジョーンズ・ストリート42番地と44番地に購入した土地に、第33消防車隊の新しい消防署の建設を計画し、消防署長の「夜間本部」が、新しい建物内に設置されることになった。

同市の最も格調高い高級住宅街のなかでも、この地区は半世紀前まで、ボンド・ストリートとして知られていた。ここにアスターとデラノという資産家が美しいフェデラル様式のマンションに住んでいた。しかしながら、今では富裕層は引っ越し、商用目的で改築されなかった残された家には堅気とはいえない下宿人が住んでいることもある。

1987年、メアリー・ノートンという女性が39歳の若さでグレート・ジョーンズ・ストリート42番地の自宅で亡くなった。その同じ月の3月5日には、44番地に住む隣人、メイ・フランクリンがフィリップ・メッツに二回銃で撃たれている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、メイは「女優であるとされ」、「嫉妬したフィリップ・メッツが自分を銃で撃ったと警察に伝えた」ということだ。

主を失った2軒の家は1898年に取り壊され、新しい第33消防車隊の拠点となる消防署の建築工事が始まった。今では公共の建物は都市美運動の理念に基づき設計されている。この理念によると、美しい巨大な建物に囲まれた市民は調和と規律を重んじた社会生活を送るようになるという。フラッグとチェンバースによる設計は、その流れを汲むものだった。

1899年に竣工した建物は、記念碑さながら巨大なものだった。それまでの初期の建築様式と異なり、フランスのボザール様式は鮮麗な見た目を重視するあまり、実用性をほぼ度外視していた。2つの車庫扉がある1階部分は石灰岩で建てられ、その上には、荘厳な中央アーチが上に向かって伸びている。くぼんだアーチは華やかで輝かしいカルトュシュで装飾され、その中の3段くぼんだ部分にある窓の下には仏式のレール、鮮やかなペディメント、バルコニーが設けられている。建物上部の目を引く突出したコーニスは、見事に対を成す特大のブラケットで支えられている。

ミラーはさらに、同じブログ内で、世紀の変わり目に生活環境の変化により火事のリスクが高まったことでこの界隈で起こったさまざまな事件や、火事の対応に追われる第33消防車隊の消防士の人柄を物語るようなエピソードを紹介している。1902年に衣料品店で発生した厄介な火事を鎮火させるのに消防士が悪戦苦闘した夜、1906年に帽子工場からガスの炎が広がった事故、1911年に起きた悲惨なトライアングル・シャツウェスト工場火災、第33消防車隊の消防士が語った「スモーキー・ジョセフィーヌ」という名前の茶色いコリーにまつわる心温まる物語など。

ミラーの興味深い記事は、第9はしご隊についても言及している。1948年にグレート・ジョーンズ・ストリートの消防署第33消防車隊に加わった際のエピソード、消防署内での女性への態度と恋愛に対する姿勢の変化、2001年9月11日の世界貿易センターへのテロ攻撃で第33消防車隊所属の消防士が14人中10人殉職するというショッキングな出来事について触れている。

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