ビッグスケールモデルとは?
Agoraのモデルを組み立てたことのあるほとんどの人が、友人に次のようなことについて、説明をしようとしたことがあるだろう。スケールモデルの組み立てとはどのようなものか? 数時間見ない間、どこで何をしていたのか? なぜ完成品をそこまで誇らしく思うのか? 私たちモデル制作者は、小さなパーツを巧みに複雑に組み立てて、愛着のある車やキャラクターを丹念に再現することがどれほど楽しいかを知っている。だが、モデル制作について知らない人たちに、この情熱や、Agoraのモデルと他のメーカーのモデル、例えばAirfixのモデルとの違いを、どのように説明すればいいのだろう。小さなプラスチック製のモデルと、大きな金属製のモデルは、どちらも「スケールモデル」だが、同じカテゴリーに属するとはいえず、愛好家も棲み分けされている。
今こそ、「ビッグスケールモデル」が他のモデルとどう異なるのかを説明するときだ……
Airfixやタミヤなどのメーカーの従来のモデルキットはプラスチック製だ。通常、ランナーから小さなパーツを切り離し、やすりで磨き、接着剤でくっつける。多くの場合、この種のスケールモデル制作の醍醐味は、組み立て後にモデルを塗装、改造し、すばらしくリアルなジオラマをつくってディスプレイすることにある。その仕上がりには惚れ惚れするものがある。
Agoraのチームのスケールモデル制作の原点もそこにある。たいてい皆、スピットファイヤやタイガー戦車などのモデルの組み立てから始めている。しかしながら、モデルの組み立てと塗装には、まったく異なる2つのスキルが必要となる。制作者の多くが、せっかく苦労して組み立てたモデルを、芸術的センスが乏しいためにそのまま放りっぱなしにしたり、個人的作品を収容する棚にしまい、その後日の目を見ることはないと分かっていても、思い切って捨てることもできずにいる。そして私たちの経験から言うと、遠目にみてもきれいにムラなく塗装するには、専用のツールが必要だ。きれいに仕上げる腕があるなら結構! ぜひやってみよう。あなたの才能を心から尊敬する!
だが単純に塗装する根気がない場合や、ブラシをうまく使いこなせず、思い描いたような出来にならない場合は?ここから、ビッグスケールモデルの違いについて説明しよう。ビッグスケールモデルは小さな塗装用刷毛などを扱う芸術的スキルを必要としない。実に複雑なつくりのため、外科手術の正確さで小さなパーツを組み立てる楽しみはそのままだ。もしかすると拡大鏡も必要になるかもしれない。しかしパーツは実物大の実車同様、工場で作られ、塗装される。
組み立て途中のAgoraモデル製の1/8スケールの427SCコブラのダッシュボード。ゲージやスイッチに、実物大の実車のディテールをそのまま反映した、微細なディテールが再現されているのが分かるだろう
完成した1/8スケールのシェルビーGT500スーパー・スネーク。象徴的な3本のストライプがあしらわれたウィンブルドンホワイトの車体がすばらしい
またビッグスケールモデルは多くの金属製パーツで構成され、パーツは接着剤ではなくネジで留めるようになっている。例えば、ビスマルクでは船体とレールがすべて金属製である。これにより、Agoraは細部までこだわり抜かれたぴったりと組み合わさるパーツを製造し、塗装も非常にリアルに仕上げることができる。こうして実物に限りなく近いモデルが誕生する。
正確な組み立てが可能な、ビスマルクの金属製の船体
そしてこの大きさなら、ライトや音などの電気系統が機能するモデルもつくることができる。実物大のオリジナルに限りなく近づけ、可動パーツを通してモデルを五感で味わってもらうおうというコンセプトだ。大きなサイズと金属パーツを特徴とするモデルは、荘厳で重厚感たっぷり。最高品質の仕上がりで、自慢できる作品となる。
4つのスケールの1967シェルビー・マスタング。Agoraの1/8スケールのモデルには、点灯するヘッドライト、テールランプ、ホーンの音などの電子部品が使用されている(スケールの異なるモデルとの比較について詳しくは、こちら)
Agoraモデルの創設者、ジェームズとリアムは、ビッグスケールモデルの父と呼ぶにふさわしい。彼らはパートワーク業界初のスケールモデル開発にあたり、ブレインを務めた。それから数十年後の今、より顧客に焦点を当てた、スピーディかつ柔軟な趣味としてのビッグスケールモデル制作の需要に応えるため、組み立てが進むのが苛立たしいほど遅いと思われていたパートワークのイメージを覆し、スケールモデル制作に進化をもたらした。